freeeやMFクラウドなどのクラウド会計ソフトは便利ですが、完全に経理が自動化できるわけではありません。特に、給料(役員報酬)の支払い時の経理は、少し工夫が必要です。
給料(役員報酬)の経理
社員に支払う給料は、実際に社員に支払う金額と、経費として計上する金額に差異があります。社員に支給する前に、税金や社会保険料が天引きされているからです。
給料や天引きされる税金等が以下のような場合、経理上は以下のような処理になります。
天引きされる税金や社会保険料は会社が負担する経費ではなく、あくまで社員が負担しているものを会社が代わりに国や自治体に納付するので、「預り金」を使って経理処理をします。
これをクラウド会計を使って処理する場合、少し工夫が必要になります。
クラウド会計(freee、MFクラウド)を使うときの注意点
freeeやMFクラウドでは、ネット銀行と自動で連携して入出金情報を自動で経理処理してくれますが、あくまで入出金のデータに基づいて処理が行われます。
上記の例だと、銀行で出金される335,000円だけを見て、以下の赤字のような経理処理が実行されます。
同じ会計ソフトの会社から出ている「freee人事労務」や「MFクラウド給与」を使えば、給与ソフトからデータを連携させて正しい経理処理をすることもできますが、フリーランスや小規模企業だとそのような給与計算ソフトは使わないこともあると思います。
クラウド会計でネット銀行のデータが連携できるからといって、経理を完全に自動化することは難しいです。
freee、MFクラウドのネット銀行の連携は便利だが、必須ではない
正しい経理にするための対応策
実際の給与データと会計ソフトの情報を合わせるための対応としては、①手動で修正、②Excelで一括して修正の2パターンが考えられます。
手動で修正
数が多くなければ、手動で直してしまった方がいいでしょう。
「給料」として経費にすべき金額と実際の支給額との差額を「預り金」にして、毎月10日などに支払う納付日に「預り金」を相殺させる処理を手動で修正します。
「自動で経理」というクラウド会計ソフトの理念からは外れますが、イレギュラーな処理として割り切ってしまいましょう。
Excelのインポートで一括修正
給料の支払いは基本的に毎月発生するものなので、毎月手動でやるのも非効率です。
Excelのインポート機能を使い、以下のような取引をExcelで作成し、会計ソフトにインポートします。
考え方としては、会計ソフトの自動連携で作成される経理データの不足分を、Excelで補うイメージです。以下の青字のデータをExcelでインポートすれば、赤字と青字を合わせた経理データは本来の正しい経理処理と同じ結果になります。
最初はインポートの方法などで慣れが必要ですが、慣れてくればそこまで手間のかかるものではありません。
クラウド会計ソフトも万能ではないので、参考にしていただければと思います。