決算予測のつくり方

決算予測は資金繰り・納税・業績管理を考える上で超重要です。これをするために経理をするといってもいいぐらいです。

目次

決算予測の必要性

ある程度の期間業績の実績が出てきたら、それに基づいて決算予測を作成してみましょう。
といっても、予測を立てていない会社は多いものです。
(上場前ぐらいの割と規模が大きい会社でも作ってないことが多いです)

作らない理由はたくさんあると思いますが、

  • 未来のことなんてわからない
  • どうせ作っても外れる
  • 忙しい(めんどくさい)

というのが主な理由ではないかと思います。

確かに、決算予測をしたからといってすぐに売上が増えるわけでもないし、そんなことに時間を使うぐらいだったら他のことをしなければならないという事情もあるでしょう。優先順位は低くなりがちです。

しかし、安易な脱税まがいのことをしてしまう会社や、資金繰りがギリギリになる会社は、この決算予測をしていないことが多いです。

事前に資金とか利益の見通しを立てずに決算が到来して、そこで思ってた以上に税負担が大きいとか赤字になりそうとかがわかっても、打てる手は少ないです。

将棋の羽生善治さんは「大局観」、サッカーの遠藤保仁さんは「俯瞰力」という表現で、全体を見通すことの重要性を言っていますが、経理の世界では、決算予測で会社全体の業績を「鳥の目」で俯瞰する手段として、決算予測があると思います。

このままの実績で残りの期間推移すれば、どれぐらいの利益が出て、納税額はどれぐらいになりそうか。
今後予定している設備投資を行うと、残りのキャッシュはどれぐらいになって、利益にはどれぐらいインパクトするか
業績好調で利益が大きく出そうな場合、社員に還元するのか内部留保するのか

こういったことを期中から考えていくためにも、決算予測は必要です。

売上の予測

売上の予測の仕方は、これは業種によって様々ではあります。
サブスク型のビジネスなのか商社型のビジネスとでは売上の積算も全然違います。

とはいえ、どんなビジネスでも「単価×数量」で売上が積み上がるものです。
このうち、「単価」はなかなか動かしづらいものです。一時的にキャンペーンなどで値下げすることはあっても、一度値下げしてしまうと簡単には値上げできませんし、値上げすると販売数量が落ち込む可能性もあります。
そうなると、予測を立てるうえでは、「単価」ではなく「数量」の計画が肝になることが多いと思います。

販売数量の見込みを立てることは簡単ではありませんが、単一のシナリオに絞らず、「好調シナリオ」と「不調シナリオ」の2パターン作ったり、「好調」、「普通」、「不調」の3パターン作ることが多いです。
3パターンも作るなんて面倒、と思いがちですが、1パターンしか作らない方が、逆に難しいです。いくつかレンジのある計画を立てる方が、意外に作りやすかったりします。

経費の予測

経費は大きく分けると、人件費、減価償却費、その他の経費に分けて計画を立てるとやりやすいです。これに加えて、繰越欠損金が貯まってたり税金の負担が大きい場合には、税金計画(タックスプラン)を作ることもあります。

人件費

人件費も売上と同様に、「一人当たりの人件費×人数」で見積もりを立てます。

一人当たり人件費は採用したい人の役職によって変わりますが、おおよその目安としては、
・部長クラスで70万円/月
・リーダークラスで50万円/月
・スタッフクラスで30万円/月
といったように3段階ぐらいで計算するのがやりやすいでしょう。

人数については、いつどれぐらいの人を採用したいかを見積もりますが、なかなか良い人が見つからないことが多いですし、良い人がいても入社まで時間がかかったりします。
また、エージェントを使う場合は採用フィーも年収の30%ぐらいかかるので、この辺もコストとして見込んでおくことが必要です。

エージェント経由で採用するかリファラルなのかによっても変わりますので、常に見直しておくべきでしょう。

減価償却(設備投資)

設備投資が必要で固定資産が多い場合、資金繰りにも影響が大きいですし、減価償却費も無視できません。

減価償却の予定表を作成し、新規で設備を取得した場合に、いつどれぐらいの減価償却費がかかりそうなのかを見込めるようにしておきましょう。

その他の経費

その他の経費には、家賃や広告宣伝費や水道光熱費などいろいろありますが、全部を細かく推計していると時間がかかりすぎるため、大きく変動しないのであれば、過去の実績の平均値などで推計すれば良いかと思います。

とはいえ、採用フィーのように人の採用で大きく動く費用があれば別途推計する必要がありますので、人員計画や設備投資計画とも比較して予測値を推計しましょう。

税金計画

創業から日が浅く、赤字である場合には税額は均等割ぐらいなので細かく考慮する必要はありませんが、利益が出だしてくると、税額の予測を立てて資金繰りを考慮する必要があります。

利益が出ていても、繰越欠損金があれば税額は減る可能性がある一方、繰越欠損金は繰越期限があるため、いつまで繰越欠損金で税額を圧縮できるのかをシミュレーションしておく必要があります。

決算予測に高価なソフトは不要ですし、会計ソフトだと操作がしにくいです。Excelであればカスタマイズも自由ですので、Excelを使って、ぜひ決算予測の時間を作ってみていただければと思います。



▪️編集後記
昨日は経理支援業務で打ち合わせをした後、散髪。
心斎橋筋商店街にあるラーメン屋「谷本家」に初めて行きました。ラーメン屋というよりは料亭のような店内で、ラーメンも上品で美味しかったです。リピ確定です。
難波のジュンク堂で本を何冊か購入。大きい書店が近くにないので、久しぶりにテンションが上がります。

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