有名な経営者やアスリートが、「夢はノートや手帳に書くと実現する」というようなことを言っているのを書籍などで見かけます。本当にそんなことで夢が実現するのか?と疑問に思ってしまいますが、具体的にどういうメカニズムなのか、考えてみました。
「夢は書けば実現する」とはよく言うけれど
「夢をノートに書けば実現する」とはよく言われます。自己啓発系の書籍を読んでも、「書く」ことや「言葉にする」ことで自分の叶えたい夢が実現すると書かれていることが多い印象です。
目標は紙に書くと実現する。
「非常識な成功法則」神田昌典
もう一度言うよ。
紙に書くと実現する。
そう。紙に書くと実現しちゃうんだ。
叶えたい夢を目に見える形で書き留めておくことで、脳が無意識にその夢を叶えるためのヒントを意識するようになり、それによってチャンスをつかむことができ、結果的に自分の叶えたい夢が実現する、というような根拠かと思いますが、正直、本当にそうなのかと思ってしまいます。まったくデタラメではないのかもしれませんが、かといってあまり腹落ちもできない。
とはいえ、実践せずにあれこれ言うのもどうかと思うので、とりあえずノートに自分のやりたいこと、やりたくないこと、達成したい目標を書き、常にそれをノートで見れるようにはしています。
夢をノートに書くとどうしてそれが実現すると言えるのでしょうか。願いがそれだけ強くなるからでしょうか。「引き寄せの法則」が働くからなのでしょうか。
夢に向かってやるべきことが明確になるから実現する
「残酷すぎる成功法則」という書籍では、夢を強く願うことが必ずしも実現につながるとは限らないという研究を紹介しています。
人間の脳は、幻想と現実を見分けるのが得意でないことが、明らかにされている。何かを夢見ると、脳の灰白質はすでに望みのものを手に入れたと勘違いしてしまうので、自分を奮い立たせ、目標を成し遂げるのに必要な資源を集結させなくなってしまう。
残酷すぎる成功法則
ダイエットで痩せた姿を強く意識すると、それだけでダイエットが成功したと思い込んでしまい、逆に体重が増えてしまうという実験結果もあるようです。
夢は、ただ描くだけでは不十分で、そこから自分を奮い立たせ、具体的な行動へと移すことの方が重要なのです。
「夢を書くと実現する」というのは、夢を書くとその達成に向けてやるべきタスクが明確になるから、それを実行することで夢が実現するということなのではないでしょうか。
そういう意味では、「夢は書くことで実現する」というのは間違ってはいませんが、誤解しないようにする必要はあると思います。
夢を実現するための「WOOP」
「残酷すぎる成功法則」によれば、夢を描くだけでなく、そこから具体的に行動を起こすためのフレームワークとして、「WOOP」というシステムを紹介しています。
WOOPとは、願い(Wish)、成果(Outcome)、障害(Obstacle)、計画(Plan)の頭文字で、以下のようなプロセスで目標を設定することを言います。
- 自分の願いをイメージする(お金持ちになりたい)
- 願いに関して自分が望む成果を具体的に思い描く(年収1,000万円を達成する)
- 現実を直視し、目標達成への具体的な障害について考える(今の会社ではすぐに昇給できない)
- 障害に対処する計画を考える(ハイクラス向けの転職サイトに登録する)
重要なのは、ただ夢を描くだけでなく、そこから現実に目を向ける部分です。現実を見て目標達成に向けた障害を見つけ、その障害を克服できる対応策があれば、それを実行し、なければそれは実現不可能な夢ということで、あきらめることもできます。
WOOPのサイクルを回す起点として、夢をノートに書くということであれば、それは実現できるのではないかと少し希望が持てるように思います。
成し遂げたいことをノートに書き、加えて、それを達成するためのアクションもノートに書き加えていきたいと思います。