古代ローマの歴史に学ぶ、「男の嫉妬」の恐ろしさ

古代ローマの歴史は、世界史で最初の方に勉強することも多いでしょう。一つの地方都市に過ぎなかったローマがやがて「ローマ帝国」としてヨーロッパ全土に勢力を拡大し、そして滅亡するのですが、その過程には多くの教訓があります。

目次

古代ローマの歴史

ポエニ戦争、三頭政治、カエサルなど、世界史で覚えた人も多いと思います。

特にカエサルという名前を知っている人は多いでしょう。

カエサルが活躍していた当時のローマの政治は、大きく2つの派閥に分かれていました。

・お金持ちの貴族が政治を進めるべきという「お金持ちグループ」(閥族派)
・貴族以外の平民にも政治や土地の権利を広く認めるべきという「庶民派グループ」(平民派)

カエサルは高名な貴族の一人ですが、庶民派グループの代表でした。
ゆえに、国民からは大人気です。

さらに、軍事の活躍も目覚ましく、「ガリア」という今でいうフランスの地域をローマの支配下に置くことに成功します。
政治をやれば、「三頭政治」というカエサル、ポンペイウス、クラッススの3人による統治がうまくいき、ローマがさらに繁栄することになります。

しかし、人気も実力もあるがゆえに、既存勢力のお金持ちグループからは嫌われます。

反カエサルの勢力が強くなっていくなか、カエサルがガリアに遠征しているとき、貴族グループから「元老院最終決議」が発布されます。
カエサルのガリア総督府の解任と、遠征先からローマへ戻って来ることを通告したものです。命令に従わなければ、反逆者扱いです。

率いている軍勢と共にローマへと戻る途中、ガリアとローマの国境を流れるルビコン川で、カエサルは立ち止まります。

「この川を渡れば、自分は反逆者として処刑されるかもしれない。しかし、渡らなければローマは金持ちグループの旧態依然とした体制のままである。我々を侮辱した敵に立ち向かおうではないか、その顛末は神のみぞ知る。賽は投げられた。」と檄を飛ばし、大軍を率いたままルビコン川を渡り、ローマに入ります。

大軍を率いてローマに向かうカエサル軍に対し、迎え撃つローマ軍は戦力の準備が間に合わず、ギリシャに追いやられます。

このローマでの争いにカエサルは勝利し、「終身独裁官」というローマのトップの地位に立ったカエサルは、次々と改革に乗り出します。

ローマの植民地の民衆にローマ市民権を与えたり、戦乱で乱れた治安を改善し、平民に土地を分配したり、貴族グループの既得権益をことごとく引き剥がします。

貴族グループは煮えくり返り、暗殺の企てが動き始めます。

そして紀元前44年3月15日、カエサルが仕事場に出勤すると、複数人の男に取り囲まれ、襲撃されます。
そこには、自分が目をかけていたブルトゥスもいました。

ブルータス、お前もか」という言葉を残し、ブルトゥスの剣によって、カエサルは命を落とします。

男の嫉妬は恐ろしい

「ローマ史には人類の経験が凝縮されている」と丸山眞男大先生は言いました。
このカエサルの活躍から暗殺までの出来事から学ぶことがあるとすれば、男の嫉妬は醜くて、恐ろしいということではないでしょうか。

「女の嫉妬は怖い」とはよく言われます。
確かにそれもあるかもしれませんが、(良いか悪いかは別として)男性の方が権力や財力を持っていることが多いです。

そんな男がひとたび嫉妬の炎に燃えると、本気で相手の人生を潰しにかかります。

自分のメンツとかプライドを保つためなら、殺人だっていとわない。

カエサルは、「貴族グループ」という力を持った男たちを敵に回してしまいました。

やってることは正しくても、嫉妬によって殺されることもあるのです。

教養としての「ローマ史」の読み方 (PHP文庫)

「推される」ことは強力なスキルである

カエサル暗殺後、後継者として指名されたオクタウィアヌスは、その後の権力争いに勝利し、カエサルに続いて単独での支配者の地位を得ます。

しかし、オクタウィアヌスはカエサルのように貴族グループの元老院とは敵対せず、逆に国を動かす権力を元老院に返上します。既得権益である貴族グループと表向きは仲良くすることを選びました。

これによって気を良くした元老院は、オクタウィアヌスを高く評価し、「尊厳なる者」を意味する「アウグストゥス」という名前をオクタウィアヌスに贈ります。

このアウグストゥスが、ローマの初代「皇帝」となります。

オクタウィアヌスは、自分の師匠(義理の父)でもあるカエサルの失敗を教訓に、貴族グループのメンツを立て、味方につけることで「推しメン」になり、結果として強大な権力を手にします。

男の嫉妬が醜く、それが自身の身を滅ぼす可能性があることを身近で感じていたからこそ、うまく立ち回れたのかも知れません。

誰かに「推してもらう」、「応援してもらう」というスキルはある意味で最強のスキルです。

これは私のような独立している者も同じです。
このブログを読んでくださっている方、お客様、家族などの応援があるからこそ、ひとりで独立をして、何とかやれているわけです。

営業、経理、ロジカルシンキングなど、ビジネスに必要なスキルはたくさんありますが、仕事は人間同士がやるものです。

自分を応援してくれる人を大事にし、自分も誰かを応援する。

合わない人、大事に思えない人とは距離を置き、無駄な軋轢を生まないようにすることが、独立の道においても重要です。



▪️編集後記
昨日は赤ちゃん教室へ。赤ちゃんのストレッチや運動、抱っこの仕方などを学びました。
その後は税理士業。

▪️娘日記
赤ちゃん教室ではお腹が空いたのか、泣いてしまいました。娘よりも低月齢の子もいて、初めての「後輩」も。
教えてもらった体を丸くする抱っこをすると、落ち着くみたいで泣き止みます。

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