法人税(住民税)、消費税、所得税には中間納税(予定納税)というものがあります。突然納付書が送られてきて、思わぬ支出が発生することがあります。資金繰り的にも注意が必要です。
税金の支払いは年1回とは限らない
法人税、消費税、所得税など、仕事でかかる税金は、年に1回確定申告をして納税をします。
法人税(住民税含む)・消費税だったら決算日の2ヶ月後(個人の消費税は3月31日)、所得税は3月15日までに納税をする必要があります。
これらの税金の支払いは年に1回というイメージがありますが、場合によっては年に何回かに分けて納税をする必要があります。
これを中間納税といいます。
中間納税は、「今年払うであろう税金の一部を事前に払う制度」です。
中間納税があると、税金の支払いを半年に1回、あるいはほぼ毎月税金を支払うことになるかもしれないので、資金繰り的にも注意が必要です。
中間納税のしくみ
例えば法人税の場合、前年の確定申告で120万円の税金を支払った場合、
120万円×6/12=60万円を今年度が始まって半年経ったぐらいのタイミングでいったん支払う必要があります。
より厳密にいうと、3月決算の場合、4月〜9月までの法人税の半期分を11月末までに納税する必要があります。
これは、「前年は120万円の税金を払ったから、今年も同じ金額の税金がかかると想定して、いったん半分の税金を払ってね」という意味です。
今年の3月決算が終わり、確定申告をした結果、今年の法人税が200万円だった場合(前年より80万円増加)、200万円の法人税額から既に中間納税で納税した60万円を差し引いて、140万円を5月末までに納税します。
5月末にまとめて200万円を支払うのが資金繰り的に大変であろうということで、時期をズラして前払いで60万円を払っておき、5月には残りの140万円の支払いでいいという趣旨です。
(ただし、前年の法人税額が20万円以下だったら中間納税はできません。なので、赤字だったり繰越欠損金で法人税がゼロだったら中間納税はありません。)
上記の「60万円」という金額は、前年の税額を基準にしていますが、中間決算を自分で作れば中間納税の金額を変えることもできます。
今年は前年より業績が下がって、税額が少なくなることが見込まれる場合は中間決算をする方法も考えられますが、決算や申告をやるのも手間なので、前年の税額を基準にする方法が現実的ではあります。
法人税の場合だと、中間納税は年に1回ですが、消費税の場合、前年の消費税額によっては毎月中間納税をすることになる可能性があります。具体的には、
- 消費税額が48万円超400万円以下・・・年1回の中間納税
- 消費税額が400万円超4,800万円以下・・・年3回の中間納税
- 消費税額が4,800万円超・・・年11回の中間納税
というように、納税のタイミングが決まっています。
所得税でも中間納税はあります。「予定納税」といいますが、内容は大きく変わりません。
資金繰りは保守的に
税務署から納付書が来るか、e-taxのメッセージが来て、中間納税の支払いを求められることがあると思います。
税務署からの連絡が来て初めて、中間納税が必要だったとなるケースもあるかもしれません。
そうなると、事前には想定していなかったキャッシュの流出が発生して、資金繰りにも影響するでしょう。
会社が成長して利益が出てくると、支払う税金も増えていきます。赤字だったときは考える必要のなかった税金が発生します。
資金繰りを考えるうえでは、諸経費や人件費に加えて、こういった中間納税も見込む必要があります。
中間納税だけでなく、事業をやっていると想定していなかったコストが発生することは多いでしょう。予定通りにはいかないものです。
資金繰りを考えるうえでは、保守的に見ておいたほうがいいでしょう。
入金は少なめに、支出は多めに見積もっておくのが資金繰りを考えるうえでは重要です。
中間納税は、中間決算をしなければ比較的見込みやすいコストなので、「利益が出たら中間納税があるかもしれない」ということは念頭に置いておくといいでしょう。
▪️編集後記
昨日は税理士業。セミナー資料の作成。
Amazonプライムで「聲の形」を視聴。マンガも読んで映画も昔観ましたが、重い内容の映画です。画はキレイなんですけど。