上場企業や外資系の会社には、FP&Aという職種があります。上場していない国内の中小企業でも、「FP&A的な」考えは有効です。
FP&A(Financial Planning & Analysis)とは
FP&Aは、会計の数値をもとに、予算と実績との比較、将来の業績予測のシミュレーション、それに基づく意思決定の支援をする職種です。
管理会計とも近いものがありますが、管理会計はどちらかというと経理色が強いのに対し、FP&Aは財務や戦略などの経理以外のスキルも必要とされるものです。
会計で使われるようなPL形式の損益計算だけでなく、受注率やリード数などの会計とは直接関係しないビジネスKPIも利用することがあります。
FP&Aは、一般的には上場企業や外資系企業のCFOや部門責任者が担うことが多いですが、中小企業、あるいはひとりで会社をやっている人にとっても、FP&A的な思考を持つことは重要です。
「ひとりFP&A」で、何をするか
決算予測や資金繰りのシミュレーションなどが良い例でしょう。
決算予測は中小企業でも必要なものです。
期末間近になって利益が出すぎて、納税負担が必要以上に重くなりそうということになってしまうと、節税をしたいと思っても選択肢が限られます。
決算予測を行って、事前にある程度の見通しがわかっていれば、必要な投資を前倒しで行ったり節税策を検討する時間も選択肢もあります。
逆に赤字になりそうということがわかっても、コスト削減などの手を打つことができます。
融資を受けるためなどで予算や経営計画を作成している場合は、予算との比較を行うことで当初の予定と実績との乖離や原因の特定にも役立てることができます。
経理は確定申告や決算を締めるためにやるものではない
FP&Aを行うにあたっては、経理で集計した決算データを活用することが多いです。
経理は税金の計算や記帳をするだけというイメージもありますが、決算予測や資金繰りを予測することにも活用できる重要な作業です。
「社長の本分」という書籍では、経理には以下の3つの進化のステップがあると言われています。
- (第1段階)経理は「情報倉庫業」。仕訳をして終わり。仕訳屋。決算屋。
- (第2段階)経理は「情報製造業」。情報集計した結果をタイムリーに報告。しかし、新たな価値の創出には至っていない。
- (第3段階)経理は「情報サービス業」。情報をタイムリーに提供し、かつ、企業価値を高めたり経営の中枢部門となっている。
FP&Aを行うにあたっては、経理を「情報サービス業」と定義できる状態まで進化させることも必要です。
「社長の本分」P.179より
そのためにやることは、
- 毎日こまめに経理をする
- 税理士に丸投げしない
- 会計ソフトに依存せず、Excelなどのスキルを高める
といった鍛錬が必要になります。
そこからさらに一歩進んで、「ひとりFP&A」へと進化できるようにしたいものです。
▪️編集後記
昨日は経理支援業務を2件。月初めということで、自分の月次経理の締め作業も完了。